2004夏合宿

3人がけ

お盆になると恒例の夏合宿だ。今回も東京から自動車二台を仕立てての乗り込み、大阪から、奈良からと集中合宿を楽しみに集まった。
日頃の稽古では基礎中の基礎をする時間がないので、この機会に一挙にマスターしようというものだ。
朝8時から夜は果てしなくバテル迄。
今回は12日から16日までの四泊五日だ。
毎年テーマがありそれにそって行われる。

今年のテーマは「みる」と張り出されてあった。
「みる」は、相手の動きをみる、自分の動きをみる、という当たり前のことを通り越し、相手の「意志をみる」と強調されて書かれてあった。
それは、組み稽古の時や様々な場面で稽古が成立しなくなる時がある。
その場合のアドバイスの時の「みる」だ。
何時も「形が間違っている・●●が悪い」と相互に指摘しあっているが、大方の場合改善されない。
それの原因はアドバイスの仕方、つまり、見方が間違っているからだ。
「意志をみる」つまり、それはどういった動機で、あるいはどういった考え方に基づいてその形になったのか、をみるということだ。
「手が曲がっている」という指摘は、指摘にならない。手が曲がっている人は手が曲がっている事を「知らない」からだ。
『雨が降っているのを見て、雨が降っているよいうようなものだ。
それを言ったところで何もどうにもならない。
それは幼稚園の子供の言うことだ。
だからどうするのだ。
どうしたいのだ。
どうしたかったのだ。』と言葉があった。
つまり、「何故手が曲がっているのか」を、相手からみる事が出来なければアドバイスにならない。
だから相手はそれを修正することが出来ない。
にもかかわらず何時も「手が曲がっている・突いている」等と繰り返していた。
当然、その頭で自分の事も考えているのだから何一つ上達しなくて当然だ。
これをメインテーマにし、様々な稽古が行われた。

そして、もう一つのメインテーマは「稽古法」だ。
上達法ともいうべきものだ。
どう稽古しなければならないのか、どう稽古をとらえなければいけないのか、を稽古の中で実際に起こる様々な状況での指摘を受けた。
一つの組み稽古をする。
その内容は身体の連動と体重の移動だ。
そして、その上に相手との関係が乗る。
一通り順番を覚えたらすぐに「自分の決めたテーマ」に取り組む。
ここが何時も抜け落ちていたところだ。
ただ漠然とその覚えた順番を繰り返していたり、何故手本の様に出来ないのかと思っていただけだ。
各人がテーマを決めそれを順番の中で行う。
相手は相手でテーマを決めているが、それが相互に同じではない。
そこで、お互いに自分のテーマを告げそれが実際として行われているのかどうかを確かめ合うのだ。
レベル以上のものを決めても意味が無いどころか挫折する為に決めているようなものだ。
各人が決めたテーマ、つまり、「意志」だ。最初は、訳が分からなかったが四泊五日の時間は、脳に浸透させるのに丁度良かった。
順番の中で一つのテーマがある程度出来たら、即座に次のテーマを考える。
その次その次と、どんどん自分にプレッシャーを掛ける。
同時に最初の組み稽古をどんどん変化させ、あるいは発展させていく。
すると、行き詰まりがくる。
現在の自分の実力では出来ないのだ。
そこで、また一番最初の組み稽古に戻るのだ。
そこで改めて最初のテーマにじっくり取り組む。
すると、最初のテーマは氷解していた。
自分の力で掴み取ったという事だ。
だから喜びがあった。
この稽古法を「守・破・離」といい、それはさらにその日のテーマ、一年間のテーマとして自覚的に取り組まれていなければならない。

「出来ない自分を知れ、決して出来るようになりたいと思うな」「出来なくて良い・見た目が似ていても意味がない」普通はどうして?と思ってしまうのだが、実際出来ない自分を知るという事がなければ出来るようになるはずもない。
何が出来ないのかを知らなければ、何が出来るのかもない。そんな当たり前のことにも気が付かなかった。
出来ない自分を知るには、自分でテーマを決めていなければ分からない。
当たり前だ。
自分の意志で決めたものがあるからこそ、それが出来たのか出来ないのかが分かるのであって、漠然と「強くなりたい・上手になりたい」と思いこんでいたところで、何一つ実現することもない。
その思いこみが間違っているのではなく、その思いこみを実現する為には具体的なステップが必要だったのだ。

難しい打撃での多人数がけ、木刀での多人数がけ、組み付きでの多人数がけ。
これらもきちんと積み重ねることで、各人のレベルで出来る様になるという体験は、当たり前のことだが稽古法の重要性、自分で決断して取り組む、意志を持つ意志を見る事の重要性が骨身にしみ込んだ合宿だった。
だから「武道は全てに応用できる」という事を改めて認識した。

多人数組み討ち
二人がけ
多人数がけ3

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