2013岡山ワークショップ 9-21/9-23

体重を移動させる

東京や京都の緊張感とは、全く対照的にゆったりとした、また、まったりとした雰囲気で、初日の教室を終えた。
初参加の多い時は、比較的こういう時間になる。
アットホームという言葉がピッタリだ。

初心者の方が多い関係で、余り詰めることをせずに、かなりゆったりとワークを進行させた。
人の持つテリトリーや、違和感の体感となると、ほんとに不思議なようなものを見る目で仰天していた。
胸骨操作の定番、後ろからの腕極めや両手前出しのストレッチ。指一本重ね、その雑談。
後ろからの肩動かしや、肩肘の連関。正面向かい合いやジャンケン。
「とにかくエネルギーは、出さなけれ補充されないよ」で、猛烈ジャンケン。
俄然向かい合いが良くなる。
緊張感があるが、特有のまったり感で皆和気あいあいと、ワークをこなしていく。
それぞれの組みが、それぞれに何かに気付き奇声を上げる。
それが場の雰囲気を和ませる。
常連の人達にとっては、復習になるので余裕で取り組んでいた。
何時も主催者を支えてくれている呉服屋さん。
彼の後輩の青年。
武道談義に華が咲き、 2 年ぶりに盛り上がった。

出会い、出会える、これはほんとに「生きている」を噛み締められる。

 

大人しい岡山で、エキサイティングな「ワー」は不向きかな、という不安は、「セーノ―」で一蹴だった。
平均値というものがあるなら、過去一番興奮したのではないかと思う。
噛みつかんばかりの「ワー」は、どんどん人を活性化していく。
終わった後、皆の表情は生き生きとして、今にも暴れ出しそうだ。
それでこそ人間だ。
借りて来た猫なら良いが、借りて来た人間は始末に負えない。
自分自身の持つ妄想の中で生活しているからだ。

自分自身の枠に気付いた人もいる。
もちろん、さっぱり分からない、という人もいる。
その差は、時間と共にどんどん広がる。
それがまた面白い。

今日は、ある大学の先生も参加してくれていた。
生徒達や、教育を憂うこころある先生の一人だ。
まるで笊のような、生徒たちの反応にめげてしまうとおっしゃっていた。
しかし、そんなこころある先生が灯を消したら、全ては消えてしまう。
「とにかく、次に続く一人を見つけましょう」を合言葉に、日々を過ごそうということで別れた。
明日は、岡山最終日。
短期間だから、それこそ詰め込み授業のようになるが、受講者は一生懸命について来てくれる。
ということで、明日の2コマは、もっとエンジンを吹かそう。

 

深夜2:30、ほんもののバーテンダーがふる、小気味良いシェーカー音を背にし店を出た。
2年ぶりの岡山のワークショップは終わった。
2年ぶりという時間は、受講者を一新していた。
何時も来てくれる人とは、2年のブランクを埋めあった。
5回目になるワークなのだが、第一回目という気分になった。
全てを一から説明し、一から始めた。
それも私の勉強になる。
おかげで、改めて自分の考えていることを整理できた。
しかし、その割には、相当高度な「関係塾」も、途方に暮れるのではなく、目が点になりながらも楽しんで取り組んでくれていた。

何時も、岡山のワークショップをサポートしてくれる呉服屋さんが、弟さんも伴って参加してくれた。
年子の兄弟なので、ケンカの生傷は絶えず、家の中は返り血が飛び散っていたそうだ。
「食事は、何時も戦争でしたよ」一人っ子の私には、何とも羨ましい話だった。
その二人の絆の深さを、目の当たりにした。
「喧嘩」それは、自分と他人を明確に分けていることだ。
その人に、私が、という、極々当たり前のことを、身体の痛みを通して知る行為だ。
もちろん、そこには戦略も戦術も発想の転換も、つまり、生きて行く上での知識が詰まっている。
まるで野生の動物の子供達だ。
身体を使って生きて来たのだ。
だから、この兄弟はワークの呑み込みが、誰よりも早い。
そして、尚且つ人生への転嫁を考える力も早い。生きる力という事で言えば、全てのワークショップの受講者中一番だろうと思う。
何よりも、直球で話が出来る事が疲れなくて良い。
色々なワークでも、私の相手をしてもらう。
それは、相手をして貰う時、何一つ説明しないが、何をどうすればよいのかを、直感的に汲み取ってくれるからだ。

また、誰よりも気遣いが出来る。
場の事を、そして立場をきちんと弁えられるのだ。
主催者の藍ちゃんは、妊娠7カ月。
ふっくらとしたお腹を抱えて、走り回ってくれた。

打ち上げでは「先生岡山に道場を建てましょう」と、嬉しい話に華が咲いた。
素晴らしい人達との出会いは、こころへの何よりの御馳走だ。

 

2年前、岡山でコンテンポラリーダンスの公演をした。
「なんじゃ ?! でも凄かった」という感想が大半だった。
もちろん、それはこちらが意図したものだ。
つまり、観客からは、そういう感想が飛び出すということを意図した演出だ。
観客から、どんな感想を引き出すか、そこを明確にするのが演出の役目だ。
その意味で、大成功の公演だった。

今回の岡山でのワークショップに、その公演を見てくれた人も沢山受講してくれていた。
その内の一人に、 PC のプログラマーを職業とする男性がいた。
その男性は、基本的には文学好きで、中でもロシア文学を中学の頃から、こよなく愛しているという。
彼は、ある問題を抱えていた。
それは、音楽と映像、音楽と舞台の関係性への疑問だ。
その問題を思索している時、岡山公演のチラシを目にし、足を運んでくれたのだ。
幕が開き、俳優の平岡さんが舞台中央を横切って行く。
そのシーンにノックアウトされたという。
その公演を見て、上記のショックと共に「私にはこの作品を受け止めるだけのものはない、もっともっと鍛えなければ」と感じたという。
まことに有りがたい感想だ。
しかし、2006年からショーケースも含め、10数回公演をしているが、そういった感想を聞いた事が無い。
本当に素直な感性を持っているし、自分に対する見極めも素晴らしい。
大方は、自分を棚の上に置き語る。
打ち上げの時、その彼に「皆に話して」と促した。
皆も彼の話を聞き終え、深い沈黙が時を支配した。
聞き手の感性も素晴らしいのだ。
話した彼の風貌からは、そういった言葉が出るとは夢にも思わない。
それもインパクトになったのだ。

 

縦系の連動から、指先に体重を伝え、相手を下に落とす。
何も知らない人は、何のことだろう、と思うだろう。
全身を連関させて使う、あるいは、全身を連動させて使う。
そこのキーワードに「身体を順に感じる」が入る。
これは、ワークショップでも教室でも定番のワークだ。
岡山でも行った。

岡山では 5 回目になるワークだ。
つまり、年に一回を 5 回しかやっていない、ということだ。
今回、この縦系の連動のワークで、完全に掴んだ人が二人いた。
ワークの間、その兆候があった。
だから、注意深く見守っていたら、組んでいる二人は自分達の力で、それを獲得したのだ。
もちろん、完全ではない。
しかし、多分ヨーロッパも教室も含めて、色々なところで同じワークをしているが、この二人が一番乗りだ。
これには嬉しくなる。
本部に来る高校の教師も出来た。
つまり、私のワークは実現性がある、ということを証明してくれたのだ。
岡山の二人は空手だ。
一人は、その流派の全日本チャンピオンだ。
しかも、 3 人兄弟揃ってのことだ。
一人も空手だが、どちらかというと元やんちゃだ。
この二人は、とにかく工夫をする。
休憩時も、私の傍を離れずに、稽古の話しや考え方の話に華が咲く。
色々な話から、自分に適したヒントを獲得しようとしているのだ。
だからといって、この二人が一緒に稽古をしているのではない。
今回も、ワークで顔を合わせたのが、数年ぶりだと言っていた。
一人でも、稽古を積んだり、工夫をしたり、色々と出来るということの結果でもある。

毎週教室に通ったからといって、あるいは、それがもっと増えたからといって出来るものではない。
それは、全てに共通する。
自分が何を望み、そこに挑んでいるのか、それに尽きるのだ。
そういった「自分が」ということを持たない人は、あるいは、持っていたとしても、それが「思う」だけの人は、やっていることがリクリエーションに過ぎない。
当然、何時まで経っても新しい自分になれることはない。

また、ワークや教室で「出来たようなことをする人」も、同じだ。
少し前、東京教室に来た若者にそれを言った事がある。
「出来たようなフリをしたら駄目やで、それだったら、自分のクセが『出来たような』をやっているだけだから、新しい自分にはならないよ」と。
教室に長年通っていても、単なる熟練者にはなるが、要素を獲得できない人の多くはこれなのだ。
道場や教室に通っても、毎回「出来たような」をやるだけだから、永久に自分のクセでやっているに過ぎないし、クセを助長しているに過ぎないからだ。

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