2014東京ワークショップ 9月12日〜16日

触れる

フランス・ベルギーのセミナーから帰り、時差ボケの残る目をこすりながら外を見ると、昨日の雨とはうって変って晴天に恵まれた。
ワークショップ会場に行くと、初めての顔が半数近くいた。

例によって「胸骨操作」となる筈だったが、話の流れで股関節から入り、胸骨になった。
「股関節」に乗ると、上半身から力が出る。
その事があり、ここしばらくは股関節を感じ取る事を入り口にしている。
また、そうなったキッカケはプロの競輪選手が「自転車を走らせるのに太ももの力はいらないのでは」と、私の教室に来たことから始まる。
胸骨から骨盤、そして膝への連動が上手くいけば、一般的な太ももに大きな筋肉をつける必要はない。

しかし、一般的に、「連動」という言葉は知っていても、それはどう実現するのか、実現すればどうなるのかは知らない。
知らないのは当たり前で、その動きは偶然出来ている人はいるだろうが、練習体系が生まれていないからだ。
そういうことで、股関節に着目しているのである。

二コマ目終わった時、参加者の一人が最後のコマも出たいのだが、膝が痛くて次のクラスは無理だと言っていた。
「膝のどこ?」と聞き、ちょうどその彼の横に柔道整復師がいたので、見立ててもらった。
膝に何かしらの故障を持っているのかどうかだ。
何かしらの故障を抱えているのなら、無理に引き止めて悪化させてはいけない。
もちろん、治療ではなく見立てただけだ。
別段そういった故障の場所は見つからなかった。
私はその彼に「どこが痛いの?」と改めて問うた。
彼は「膝です」と答えた。
この時、私は彼と完全に正面向かい合いをしていた。
私の雰囲気に気付いた一人の理学療法士が私に注意を向けていた。
「で、今は痛いの?」膝痛の本人に聞き返すと、「あれっ?」という顔をし、「次は大丈夫です」と答えた。
その時、理学療法士と私は目配せしていた。
皆は、大したことがなかったのだろう、というくらいに思ったに違いない。
そうではない。
人と意思が向かい合い、同調出来た時、身体に何らかの変化が起こるのだ。
この場合は、自動的に痛みがとれたということだ。
その実際を見た理学療法士と頷きあったのである。

「表現塾」になり定番の正面向かい合いから、声を届けるが始まった。
声を届けるのだから、当然、聞くという作業もそこにある。
具体的にはその聞くという作業は、届けるよりも難しい。
だから同時にはやらない。
その場で、もう一度先程の膝痛の彼に「具合はどう」と聞くと「何ともないです」とのことだった。
つまり、きちんと人の話を聞くことができれば、そこに生体反応が起こり、緊張が解れるのだ。
それの実際を見せたことを改めて皆に説明した。
今回は、外科の医師を含め医療関係、治療関係の人が多いので、そういった治療以前の事を話したのだ。

明日は二日目。
ストレッチか肘を使うから入ろう。


二日目は、熊本や沖縄からの人が到着。
ワークショップで毎年顔を合わせる人達と、お互いの健康や活躍を報告し合っていた。
「同窓会のようだね」と熊本から参加の人。ワークは、初参加の人たちも半数がいたので、「胸骨操作」そして、その連動するべき腕のねじれに繋げた。

「関係塾」では正面向かい合いから、後ろからの肩動かし。
「表現塾」は声を届かせるから、その声を使った相手の誘導。
相手の流れを感じるへと、急速に難しくなっていった。
しかし、参加者は毎年頭を悩ましているので、難しいのは承知だ。
お互いが工夫をしながら、楽しそうに取り組んでいた。
難しいことを楽しめるようになって来ているのが、一番の収穫だ。
もちろん、初参加の人の中には、いきなりめげる人もいる。
全部与えてくれて、褒めてもらえる、あるいは自分を肯定してもらえる、温室の世界に生きているから仕方が無い。

「自分が考え、自分が獲得する」そんな人として当たり前の事が出来ない人が多すぎる。
少なくとも、私のワークに足を運ぶ人は、出来る出来ないに関わらず、ここをクリアしようと思っているのだ。
終了後食事に行った席で、熊本から来ているダンスの先生が、私からのアドバイスの話を皆にした。
それは、私がジャズをやりだした時、先輩のピアニストから貰ったアドバイスだ。
上達する為の三種の神器があり、それを利用しなければダメだ、というものだ。
40年以上前の事だから、その三種の神器はメトロノーム、レコード、テープレコーダーだった。
という話から、現在ではiPhoneや動画撮影に特化した端末機が沢山ある。
それを使うということをしなかった自分は余程の馬鹿なのかと思い、早速それを生徒達に教え、教室でも毎回使っているという。
その結果、幼稚園児のクラスでさえ、あっという間に上手くなったという。
当たり前のことだ。
自分のやっていることを客観的な視点で見ることができるのだから、自意識の発達にも役に立つ。
頭の中と、実際にやっていること、実際にやれていること、これらがバラバラなら、夢の中でいきているようなものだ。

という具合に、ワークショップを色々な方面で役立ててくれている。今日は三日目、本当にストレッチから入ろう。
「関係塾」は、相手の流れに乗るをやってみよう。
「表現塾」は、声を届けるの続きだ。


三日目のレポートをアップしてくれています。

http://ameblo.jp/ryo813529/entry-11925103580.html


 

4日目は表現者の為の「表現塾」だ。
しかし今回は、残念ながら演劇関係もダンス関係も少なく、表現者に特化したワークを組めなかった。
しかし、メジャーなカンパニーや小劇団の人たち、数人は参加してくれているので、かなりハードルの高いワークを試みた。
少数精鋭で、という感じだ。
この調子なら、来年はこの「表現者の為の」というのは止めよう。

1コマめは、全身のストレッチから始まり定番の「背骨を拾う」、そして、背骨の拾うの応用で、これも定番の後ろからの羽交い締めへと続いた。
この定番の「~羽交い絞め」は、背骨を拾うという身体運動の応用なのだが、相手の行う羽交い絞めというストレスに対し、価値観の転換を行うという稽古でもある。
相手の価値観は「この人間を何が何でも逃がさない」だ。
それに対して、相手の身体との接着面を感じ取り、この背骨を拾うを行う。
つまり、価値観の転換なのだ。

という具合に「身体操作」というのは、考え方を学ぶということでもあるのだ。
腕のワークは肘のコントロールをし、ワークを終えた。

2コメ目は正面向かい合いから、「なまむぎ合戦」無言で相手に伝えると続く。
とにかく、「第三者に関係が見えるように」。
紹介で今日から飛び込みで参加してくれている、メジャーカンパニーにいた元ダンサーは、「もっと若い頃に、このワークを知っていればよかった」と出来ないことを楽しんでくれていた。
後は、「皆の前に立つ」。
これは毎回のテーマで、いわば表現塾の定番だ。
また、グループ全員に声を届けるも、毎度のことながら全員撃沈。相手に届けたい欲求が大きいのか小さいのかの問題だ。
だが、何時ものことながら、「どうすれば」に走る。
そうなると、欲求以前になってしまうのだから、何をしても全員からダメ出しが出る。
この欲求以前を探すのと、その場をしのぐ技術を探すに走る岐路がある。
「逃げるなよ」とはいうが、その意味は分からないのではないかと、この頃思う。
疲労困憊の中、4日目が終わった。

色々な質問があるが、多方は「自分がそれをやる」という意思が解決してくれることだ。
そんな話に終始した。医療・治療系、の人たちのリクエストで、休憩中にはミニ身体へのアプローチ方法教室になった。


今日は最終日だ。さすがに平日だから人数は少ない。

終電間際に打ち上げ終了。
「飲み放題で一人1000円」という呼び込みに釣られて2次会へ向かった。

最終日は、この打ち上げをやる為に2コマしかない。
毎年の事だ。
前日のただの食事会で、役者の一人と話した。
稽古やその他諸々の事で、耐えられなくなり吐きそうになる時がある、とのことだった。
その言葉を聞いていて気づいた事がある。
それは、自分の選んだ事。
この場合なら「役者」を選んでいることだ。
その選んだ役者の「基準」を、自分に置いており、自分の外にない事だ。
自分の中の基準、つまり、自分なりの基準であるなら、何が成長して何が成長していないのか、あるいは、どういう風にならなければいけないのか、という様々なビジョンが全く見えないということになる。
もちろん、そういう具合には考えてはいないので、一体なんの話か理解できないようだったが。
しかし、「自分の中に基準を持つ」そのものは決して間違っているのでも、悪いのでもない。
基準を絶対視していることが問題なだけである。
絶対視しているのだから、その基準を曲げようとはしないし、現実にそぐわないのであれば訂正しなければならない。
それをしないのだ。
また、その基準の根幹は大方が「好き・嫌い」という、自分の趣向から生まれていることが多いのだ。
そうなっている、自分の中に有る基準というのは、単純に「自分の殻」である。
早く、そのことに気付いて欲しいものだ。
そして、その殻を破り、現実の世界で活躍して欲しい。

打ち上げは30名足らずの少人数で、こじんまりと盛り上がった。
反省会、エピソード、以前のワークショップの話。
新しい人がいれば、毎年同じ話題になることもある。
それも酒の席だから一興だ。
「オーダーストップです」で、二次会へと流れた。


受講者の一人、若い理学療法士のブログです。
分かりやすく書かれており、彼の感性の良さがよく分かります。
こんな療法士が沢山生まれれば、患者さんは安心です。


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