2015 沖縄ワークショップ

沖縄は猛暑の中で始まった。
午前10時だからまだましだが、風がない分蒸し暑く感じる。
「おはようございます」の挨拶が重なり、毎年のメンバーがまず顔を見せてくれた。
その一人が、初参加の人と言葉を交わしていた。
「先生、もう9年になるのですね」
「そうか、そらそうや、チビちゃん達がどんどん大きくなっているやん」そうだ。

沖縄でワークショップを初めて9年だ。
キジムナフェスタの中で初めてのワークショップが開いた。
そこでリヨン・コンセルヴァトアールのドミニク先生や、リモンテクニックのアラン先生と出会ったのだ。
しかし、予算の関係でキジムナから離れ、地元のバレエ教室の先生が主催してくれるようになり、今日に繋がっているのだ。

「朝で頭がすっきりしないので、頭の目を覚まさせましょう」と、手の指のストレッチから入った。
どうも言葉はまだ「武禅」を引きずっており、初参加の人にとっては難しいものとなったようだ。
「触れる」ということで身体は変わる他だ。
しかし、ワークそのものは、皆楽しそうに取り組んでくれていた。
途中「お・き・な・わ」と叫ぶシーンに、大爆笑になったが、独特のゆるい空気感の中で、相当高級なワークに汗を流した。
身体の不思議や言葉が身体に与える影響や、自分たちが思っている身体像とは異なった身体に、驚きながらも熱心に取り組んでくれていた。

ここ沖縄でも、医療や治療関係の人が増えている。

学校で習った身体や治療と、生の身体から探っていくものとは、重要なポイントは変わる。
極論で言えば、部位と全体の違いだ。
腕の骨が折れて、そこを治療する、というのが部位だ。
もちろん、そのことは大事な事だ。
だが全体として、つまり、人全体から見た時には、その部位の治療と欠かせないのが、その人の意志の方向だ。
その事で、治り方に大きく差が出る。
そこを誘導するのが、医療や治療関係者だと私は考える。
そういった事の実験や、「感覚」という事の実際、意識の切り替えの実際を交え、ワークショップは進行する。

 

上半身のストレッチ

二日目終了。
どんどん楽しくなるワークショップ。
皆が素直に関係できるメニューをやってみた。
案の定、直ぐに会場は笑いの嵐。
子供の頃に戻っていく姿が面白く、こちらまで楽しくなる。

どうしてその調子で日常に取り組まないのか。
「学ぶな、習うな、覚えるな、ひたすら遊べ」今日は、この言葉から始めた。
しかし、理屈っぽい人には、それは効かない。
もちろん、それはそれで仕方がない。
結果その温度差は縮まらない。
理屈っぽいのは良いが、どうしてその場に合わせられないのか。
そこが問題だ。

こうして子供のようになり、全体が盛り上がってくる感じは、どこよりも沖縄が一番だ。
直ぐに一体感を感じる。

身体塾は、胸骨操作から全身のストレッチ、そして背骨を感じる、という定番。
続いて表現塾は、様々なジャンケンから正面向い合い。
指パッチンに、その連携。
関係塾もあっという間に「終わり~」「エ~~」で終了。

二日目では、結構面白い女性が受講してくれていた。
「分からない」が口癖だ。
「えっ、何か分からないのですか」「肩を回すのが分からなくて」「いや、回ってますよ」「分かりません」
しまいには泣きだした。
これには、こちらが混乱してしまった。
女性の「分からない」が、分からないからだ。
色々な人がいる。
自分が何を言っているのかさえ知らない人。
そう書くと「そんな馬鹿な」となるだろうが、実際には沢山いる。
ただ、その人の話を真剣に聞かないから、その人と向き合っていないから気付かないだけなのだ。

終わってから、約束のあった名嘉睦稔さんとリンケンバンドのライブへ。
上原知子さんの沖縄民謡が楽しめさせてくれた。
宴会のノリか、はたまたショーパブのノリか、という賑やかさで観客を琉球の世界へ連れていってくれた。

明日は、楽日。
打ち上げは午前3時解散を目指している。
泡盛だ。
しかし、今日も泡盛だったので、もしかしたらきついかも。

 

打ち上げは午前1時30分。
残念ながら3時までには届かなかった。
それは店が終わりだから仕方がない。
皆、名残惜しそうにその場を離れない。
余りにも時間が中途半端で、「次に行こう」とは誰も言い出さなかった。

たった3日だが、3日間受けている人と、飛び込みで来た人とは雲泥の差があるのが面白い。
飛び込みの人は、皆のテンションの高さに、明らかに戸惑っていた。
ま、それは仕方がない。
色々なタイプで「関係」そして、関係で起こる身体の不思議、意識の変化を皆楽しんだ。

何と言っても最高にはじけたのは、会場を貸してくれた保育園の女性だ。
どんな難しそうなことにも、引かずに積極的に取り組んでくれた。
正面向い合いではシナをつくって都はるみまでいってしまった。
これには会場中大爆笑。
この弾け方は沖縄だろうか個人だろうか。
そんなムードが場を支配し、笑顔が満載のワークショップになった。

難しいから深刻になる。
なったところで、難しさは変わらない。
まだ笑いが起こる方が、身体のどこかに格納される可能性がある。
その意味でも、こういったムードは大事な事だ。
「今回は嫌だと思う人と、積極的に関わって色々気付きました」
「初めに嫌だと思っていても、腕を握るをやると『あれっ嫌いじゃ無かった』となったのはおかしいですか」等々。
皆、関係性を堪能してくれていた。

特に若い子達が伸び盛りのように伸びているのが嬉しい。
この若い子達は一切めげない。
めげそうになっていると誰彼なく「やろやろ」とドンドン巻き込み、数を重ねていくのだ。
こんな姿はどの会場でも見られるものではない。
ここ沖縄ならではだ。
それだけ人と人の距離感が近いのだ。
生きている人間達だ。

柔道整復師の若い男性が、中々良いキャラだ。
昨年からの受講だ。
「お前、無駄に汗をかくな、人がみたら一生懸命やっているように思うやろ」と、訳の分からないツッコミを入れても、決して深刻にならず、そしてめげない。
芯が強いのだ頼もしい青年だ。
あっという間の3日間だった。
余韻もヘチマもないが、来年皆の姿を見るのが楽しみである。

ゲンさんのwebページです http://teedasmile.exblog.jp/21492215/

言葉が無くて意志が通じる、その事が「関係」だ。
もちろん、思う、ということもなければ、変な雑念はない状態だ。
「武禅」で徹底的に行う事だが、ワークショップでも定番として入れている。

沖縄のワークショップに中学生の頃から参加していたカノンちゃん。
今では20才になる。
今回も受講してくれた。
彼女は私のワークを「人生の必修科目」だ、という認識を持っている。
それはそういった、感性が大事だという事を体感しているからだし、その事がきっと彼女の若い人生だが、その中で実感するのだろうと思う。
決して「コピー」ではないのだ。

今回の打ち上げで、色々と話すことがあった。
そこでは思い切り成長しているカノンちゃんの言葉があった。
もちろん、その言葉はそういった感性が生み出している言葉であって、知識を並べているものではない。
だから、彼女の本当の言葉だと言える。
だから、こちらもきちんと聞ける、つまり、響くということだ。

沖縄ワークショップの良い所は、このカノンちゃんやあゆみちゃん、はるかちゃんといった殆ど同い年の子達、そして、みゆきさんというこれまた鋭い女性がおり、その人達が積極的にリードしていく事だ。
もちろん、主催者のゲンさんや幸美先生達もリードする。
ワークで「じゃ、次はこうします」と新しいことのデモをする。
そんな時、それだけ沢山の感性の良い人達がいるから、相手に困らない。
探す必要が無く「じゃ」ということで、指名できワークのデモが出来るのだ。
そういった人達に影響され、皆がワークを体感出来る。

言葉が無く意志が通じる、ということ、そして、意志が通じているということが目に見える、それは何故か。
意志が通じた時、判断の回路は遮断されるからだ。
動物の親子を見ていると、子供は親に寄り添っており、親のとっている行動がそのまま子供に反映されている。
多分、そういう状態なのだろう、と考える。
決して「こうして、こうする」ではなく、逆にそれが無いから通じあっているのだ。
だから、その状態では笑顔しか生まれない。
しかも深い笑顔だ。
これがどれだけ心地良いか。
その事を「心地よい」というのであって、大方の心地良いは、「心地良い」と思っているだけのものだ。

 

 

2014沖縄ワークショップ

肘を使うと力が出る

【沖縄ワークショップの感想文の一部抜粋です】

今までやってきたのはなんだったんだろう? 
片っ端からギョクサイされて、どうしたらいいのかわからなくなった。
今までやってきたことも受け入れ、この世界も体で感じていけるようになれたらいいな、と思う。


1コマ目はカラダの体験よりも考え方に脳が逆回転しました。
いかに自分がカラダのもとにある機能に気がつかずに生活していたかにビックリです。

 

最初に聞いていた『打ちのめされた』のレベルをはき違えていました。
『こんにちは』さえも言えなくて、苦しくて泣きそうになっている自分、泣くことさえもできない自分。
もう一度初めから・・・、とも言えないくらい、打ちのめされました。

 

3回目の参加でした。
先生のお話は毎回、本当に、心に深く残ります。
自分を変えていきたい、素直でありたい、成長したい、と思えるいいきっかけでした。
来年も必ず参加します!」

リンケンバンドのリンケンさんと
名嘉睦稔さん、リンケンさんと盛り上がり

足の裏で付いて行く

 

明日から沖縄だ。
版画師の名嘉睦稔(なかぼくねん)とも1年ぶりだ。
睦稔さんとの話は、常に緊張感があるから面白い。
毎回、睦稔さんには版画制作時の状態を聞く。
何しろ、一切下書きも何も無いところから、一気にいわゆる3.6判の板に彫り上げてしまうのだ。
分からない人間から見ると、それこそ神懸かりだ。
どこから見ても嘘の無い、自然と言う言葉がピッタリの目に参ってしまう。

今回のワークショップは、福岡、バレンシア、「武禅」、と続いてあったから、疲れが出ていたのか、毎晩レポートを書くという気にはなれなかった。
というよりも、ワーク終了後食事をし、ホテルに帰るとバタンキュー状態だった。
タイミングよく、玄さんが毎日レポートを書いてくれていたので、その日何があったのかは、そちらを見て欲しい。

沖縄ワークショップ1日目

沖縄ワークショップ2日目

沖縄ワークショップ3日目

理学療法士の方の体験です

昨年のワークショップでは3人組の「ワー合戦」が盛り上がった。
おかげで、それが私のワークで定番になった。
その土地、その土地によって、ワークショップの雰囲気は違う。
だから、その土地に合わせたワークが、その場で閃く。
それが新たな定番になる。
大方の場合、気分が高揚しない場合に、高揚させる為のものだ。
もちろん、「武禅」の中で使っているワークが中心になる。
今年は、どれくらい盛り上がるだろうか。
胸骨操作やストレッチから始まるが、これも受講者の雰囲気によって変化する。
その意味で、何時も何一つ用意はしない。
その切迫感が、何かを閃かせてくれるのだ。
人間、背水の陣が一番強い。

 

沖縄のみんな、ありがとう!お疲れさまでした。

夕方関空に着いた。沖縄とは違い、かなり暑さも和らいだ感じがする。
7年目になる沖縄ワークショップは、無事に終了した。
打ち上げは、深夜1時まで泡盛で盛り上がった。
気持ちの良い酔いが、ワークショップの疲れを和らげてくれた。
今回は、目立って治療関係者が多かったように思う。
それは、主催者の一人である整体師であるゲンさんの宣伝のおかげだ。
整体なり理学療法士なら、とにかく「身体に触れる」「人と関わる」という職業の人にとっては、私のワークは理論外なので、決まって驚く。
理論外といえど、武道から見た身体だ。
何が違うのかというと、武道では敵に違和感を与えてはいけない、という条件がある。
それがそのまま、身体に触れる職業に適しているのだ。
また、それは直接触れるだけではなく、離れていても同じだ。
気配を見せてはいけない、という条件もあるからだ。
そこから作られた身体技術は、色々な人の役に立つ。
そんな話もいっぱい詰まった打ち上げになった。
来年会える事を誓ってお開きとなった。

朝から、睦稔美術館に今夏の作品を観に行った。
「あかん」当然の事ながら、とてつもないエネルギーが美術館に充満している。
エネルギー負けだ。
丁度睦稔さんのマネージャーがおり、お礼の挨拶が出来た。

この三日間を振り返ると、熱心に学んでくれる沖縄の人達は、理解度や練習の成果は、平均して一番高い様に思えた。
10代の子達から40代の人達と、幅広く熱心に取り組んでくれているからだ。
距離感の近さも嬉しい。
もしかしたら、沖縄の人が昨年に続き東京のワークショップにも来てくれるかもしれない。
相当の熱の入れようだが、それがまた嬉しくなる。
そんな人達が沢山いる、熱い沖縄。
来年またみんなに会うのが楽しみだ。

 

 

■過去のワークショップ

身体塾  武道塾  武禅

武禅一の行
・ 武禅で何をするの
・ 行会案内
・ 参加者のレポートから
・ 武禅の一日

武道塾
・ 武の存在意味
・ 武道に極意なし
・ 武道的対人論
・ 合宿レポート
・ 教室 
●海外での指導

身体塾
・ 骨格で考えよう
・ 身体を連動させる
・ 身体の法則性
・ 身体の学び方
・ 表現者へ
●海外での指導

●武道を学校に導入?
●稽古と意識
●ギエムという芸術
●文楽は武道だ
●胸骨トレーニング
●メンタルトレーニング?
●トレーニングとは?
●稽古と学ぶ
●故伊藤先生のこと
フォーサイスカンパニーでの一週間

●練習の仕方

●過去のワークショップ一覧

・日野晃の著作物/DVD他

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